
大石一貴「光]でもってすべて見)つくす、音)とどくとも。)」
Kazuki Oishi “Light] has seen) everything, even if sound) reached.)”
2026年1月17日(土) – 3月29日(日)
開場時間: 14:00 – 18:00
休廊日: 毎週火曜日・水曜日、1月24日、2月7日、2月13日、2月28日、3月7日、3月13日、3月20日
会場: 照恩寺
住所: 東京都小平市美園町3-23-20
【トークイベント】
2026年2月23日(月)15:00 – 17:00
ゲスト: 慶野結香
【同時開催】
SHOUONJI BOOKSHLF 6th
大石一貴「Chop the Light」
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この度、大石一貴の個展「光]でもってすべて見)つくす、音)とどくとも。)」を照恩寺にて開催いたします。
彫刻の領域で活動する大石はこれまで、不可逆的で時間や環境によって変化する粘土という素材を継続的に用いて、身のまわりを取り囲む微細な変化や力学に発生する間隙に詩情を寄せ、広がる時空間に関心を持ちながら制作を続けてきました。
近年、文字やイメージを彫りこんだ粘土を版としてインクをのせ、紙に転写させる作品にも新たに取り組む大石は、本展において「雷」をテーマに新作を発表します。
雷は大気中の高度な電位差によって起こる自然現象ですが、古来より世界各地で地上から離れた超越的な力と結びつけて捉えられてきました。
天から地上へと瞬時に到達し、辺りをあまねく照らし消え去る稲妻と、遅れながらも次第に空気を震わせる雷鳴は決して重なることなく、しかしそれらは常に鏡合わせのように存在しています。
作用と反作用、こちらが乾けばあちらが潤い、私の痕跡があちらに木霊する。大石はそうした現象に現れる規則や循環に一つの観測地点を設けます。そこにあったもの、そして起こったもの、それを記述する「私」の存在、形成される造形物と、その先にある時間の奥行き。現実の対象を写しとるはずだった彫刻は、その過程の遠心力によって新たな造形を獲得していきます。
本展では雷の光を起点に、大石によるアッサンブラージュ、粘土彫刻、そして版画とが立ち並びます。
物理上、同心円の音の波が無限の彼方まで広がるのであれば、雷鳴と対になる稲妻もまた世界の隅々までを照らすと仮定して、その光によってこの世界に在るものの陰影は逆転したネガの形をして立ちすくむのでしょうか。
彫刻では可塑性ある素材が力を受け、形作られたそのままの造形として世界に現れますが、写真や版画におけるネガポジのイデアの境界をまたぐようにして、今回の光による塑像は制作されます。
(企画:oar press)
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言葉を数珠繋ぎにしてそれをぐるっと一周巡ってみても、ピタリと起点へ戻ってくることのない連想をはじめたばかりに、世界の輪郭になる筈だったオブジェの存在は事が起こった実感も湧かないまま、時間の最中に未だ取り残されたままのような気がします。
大石一貴
光]
雷が光る。
でもってすべて見)
光が届くからには他人事ではない。すべて見られる。
言葉には肉があるが、骨はない。オブジェを紐で縛りつけて、堰き止めるように両腕で大きく丸を作ってくる言葉の肉を引き受ける。骨無しの中心から伝わる波から同心円上の肉嵐に成る。
稲光が静かだ。中心の外から予感する雷鳴はいつまでも私たちの耳に届かない。
つくす、音)
呼吸を共にする世界で、未然のオブジェはほぼ静止して振動する風景。
近景、中景、遠景。波紋状に伝播する音の遅れのような風景の中景地点にて、
あなたたちはわたしたちは、再びその閃光で一遍に骨抜きにされ、各々は同心円上で遅れをとって痛感することになる。言葉は肉だけ、まだ何も起こってないと。
とどくとも。)
稲光で影にな亜粟杏異一員因英益凹央王黄音果華菓画回貝害革且釜萱干甘喜基貴宜吉共業曲金苦具串栗軍圭穴言古固交口工幸甲貢合轟困査塞宰皿三山士宍実舎車囚十出昌晶章菖賞畳晋森申真辛人昔責宣善全曽宋早曹草束其大只谷旦茶中宙壷呈典天田土東豆堂童凸寅二廿日韮買莫半美畢苗品夫富冨普父芙糞文丙平並米呆豊某冒本末未冥木目由容羊蓉来雷蘭里立量塁霊六亘个亞亶會吝噐圉圓圖堊壺幵旱杲昊旻杳暈栞茉菫蕈蕾詈豈賣賽贔韭仝葟䒔。
放射相称動物を模した文字たちは、稲光に影にされても姿を変えず生きられる。
波の薄れた先でネガになり反転する景色で、彼らだけは振動しながら立ち尽くす。
あまりに何も考えず、取り残された音の残りの汽水域に光がとどくとも限らないが。
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大石一貴(おおいし・かずき)
彫刻家。1993年山口県生まれ。東京都在住。東京造形大学彫刻専攻卒業、武蔵野美術大学大学院彫刻コース修了。
主な個展に、「開発の再開発 vol.7 大石一貴|消滅Ⅱ」gallery αM(東京、2024年)、「石と文字」秋川河川敷某所(東京、2023年)、「Voyager is with you」Art Center Ongoing(東京、2023年)、「For instance,Humidity」sandwich.gallery CFP(ブカレスト、ルーマニア、2022年)など。
主なグループ展に、「時・場・前」都里一ビル(東京、2025年)、「袖すべてうらがえる」Gallery 10[TOH](東京、2025年)、「Words are Bellows How to See the Between.」KM12(リガ、ラトビア、2025年)、「ryusuirenzu / joshomokushi」東亨 / 大石一貴 DJURGARDEN(東京、2025年)、「Words are Bellows: How to see the between.」W Gallery (ヴィルニス、リトアニア、2024年)、「合図」Up & Coming(東京、2024年)、「HANNAH」parcel(東京、2024年)、「空気を入れかえる/空気を入れかえる」東京造形大学CSギャラリー、ZOKEIギャラリー(東京、2023年)、「光を測る」電気神殿メタコイノン(東京、2023年)、「血は水よりも濃い、何も分かってないのかもしれないから、庭の隅の手作りの洞窟で、くらくけずられた豆腐歯はこなごなにしたたり冷蔵飛び石の形に集まってななめに流れ出すまで」TALION GALLERY(東京、2023年)、「シフト」gallery TOWED(東京、2023年)、「2022年12月6日 数年前、真冬のニューヨーク。グッゲンハイム美術館の前にある花壇で、 一羽のスズメが体を土に擦り付け穴を掘り、羽をふるわせながら体をうずめていた。巨大なビルが立ち並ぶ丸の内は、多くの人が行き交うが生活の気配はない。効率や目に見える成果が求められる都市において、曖昧で不可解な一生命体である身体が居場所を作ることは困難であるように思われる。この空間、時間に対し、新居を使い古した家具で埋めるように、フィットする場所を探す。これは、非生産的な無為の提唱ではなく、より明朗な生命活動の実践であり、『ソノ アイダ』を、かつてスズメが作り出した穴にすることなのかもしれない。」ソノ アイダ#新有楽町(東京、2023年)、「おなじみのうごき」Art Center Ongoing(東京、2022年)など。
主な受賞歴に、「群馬青年ビエンナーレ2019」優秀賞(2019年)、「CAF賞入選作品展覧会」海外渡航費授与者 選出(2018年)など。
oar pressにて2023年トップ画年間連載。
ウェブでの連載テキストをまとめた『oar review #2「空白の味方」』を2024年に発行。
